2008年12月27日、 クリスマスも終わり新年に向けて新たなイベントに胸を膨らませていた。 準備は着々と進み、12月31日には楽しい年越しを迎える…そう思っていた。 ***16:00*** 普段の様にまったりとネットを楽しんでいた。 200Mバイト程度のデータをダウンロードするためにサーバーへと接続する。 20時間近い、素人ラジオの録音データだった。 HTTPがサーバーへ投げられ、ノードを通りホストに返ってくる。 いつも通りの接続、いつも通りのプロトコル。 ただ、今日はいつもより若干回線が重かった。 回線は上り下り共に実質16Mbpsという、光回線としては遅い方だろう。 しかし、未だにADSLの利用者がいる事を考えれば十分に高速と言えるはずだ。 それが雀の涙ほどの通信帯域しか確保出来ていなかったのか、 ドモホルンリンクルも真っ青の速度でデータを受信していた。 とりあえず、犬の散歩にでも出かける事にする。 イノシシ似のかわいい奴だ。 冬の日は短い。それに帰ってくる頃にはきっと良い結果が得られるだろう。 ***16:32*** 自室に戻ってくる。 まず、ディスプレイを見やり、 目的のデータが半分程度しかダウンロードされていない事にうんざりする。 30分で100MByte程度ということは約0.44Mbpsということだ。 しかし、数秒後、それだけではない事に気づく。 遅いのではない。転送は停止していた。 とりあえず状況の把握をしようとトレイに常駐する ネットワーク接続のアイコンをクリックした。 ・・・カコン ん?フリーズした…? 念のためにCtrl+Alt+Deleteを押しタスクマネージャーを呼び出そうとする。 …反応が無い、完全にハングアップしている様だ。 データ受信中だったことが気がかりだったが、仕方なく強制終了を行う。 つい、「やべえかな…」と呟いてしまった。 フリーズなどはコンピュータを使っていれば良くある事なのだが、 ハードディスへアクセスしている時のフリーズは格別に危険だ。 バッドセクタと言って、 異常なデータ領域が出来てしまいDisc Errorを起こすことがある。 ハードディスクはプラッタと呼ばれる数枚の円盤と それを固定するアーム、データ読み込み用のヘッドから構成される。 その中で記録領域を細かく分割したセクタと呼ぶことから、 バッドセクタ、不良の記憶領域という意味を持つ。 型が古いとはいえ分速7200回転のディスクからデータを読む精密機械…。 恐る恐る電源を再投入する。 ここから、BIOSが起動し、OSの起動情報を含むMBR、 マスターブートレコードにその情報を読みにいく。 OS画面が現れれば最良、不良データが混ざる軽い論理エラー程度でも ディスクブートのOSから一部データの救出が可能な可能性もある。 …はたして。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ カコン・カコン・カコン・カコン・カコン・カコン・カコンカコン・カコン・カコン・カコン・カコン・カコン・カコン・・・ 筐体から発せられる異音に血の気が引く。 画面は吸い込まれそうな黒。 Disc Errorさえ表示されない完全なる暗闇だった。 再び、電源を落とす。 画面は変わらず黒、しかし、同じ黒ではない。 信号の届かないディスプレイを前に一瞬、呆然とする。 そして、その時、自分は明らかに冷静な判断を欠いていた。 元電源も含め一度、落とす。 電源を再投入する。 当然結果は変わらない。 駄目元でUbuntuのディスクをドライブに挿入する。 異音は止まらないそして、ディスクからでもOSは起動できなかった。 当然と言えば当然だった。 先ほどの異音から推測するにあれはヘッドが振れた時の音。 Disc Errorの表示さえ出ないということは ハードウェア的になんらかのトラブルが発生した可能性が高いからだ しかもヘッドが無秩序に振れているということは プラッタを傷付けている可能性が高い。 ハードディスクは超精密機械、 ヘッドとディスクの間は10ナノメートル(ナノ=10の-9乗)、 タバコの煙の粒子1個、500ナノメートルと良く比較される。 つまり、度重なる電源再投入は 「結果を悪化させる可能性が極めて高い」ということになる。 この時点で一般人でのデータ救済はほぼ不可能であることを悟る。 物理障害の場合、 復旧方法はクリーニングルームでの不正データの修復。 これには特別な設備が必要となる。 料金も企業であればはした金だし、 よほどデータに価値があればそれに見合う金額だが一般人には高すぎる。 ・・・さて、どうしたものか。 決まっている。 とりあえず、紅茶飲も。 とりあえず落ち着く。コレ大切。 ***17:30*** 風呂にも入ったのでだいぶ時間が空いてしまった。 しかし、これで準備万端。 今日も変わらず美味しい紅茶を飲みながら、方向性は決まった。 全データをあきらめる 検討した結果、比較的、良く利用していたデータは4つあるUSBメモリに 大抵保存されているし、深刻なデータは1つ程度だという結論に達したからだ。 下手にリトライを繰り返すと結果は悪化の一途を辿ると判断した。 もし、その他に手段を見つけた時のために今は触らないことが懸命だ。 しかし、生活に影響はなくとも趣味で作っていた音楽データや ゲームプログラムなどが飛んだのは相当痛手である。 データをあきらめることを決めた直後、その悲しみでしばらく 笑いが止まらなかった。 幼少の頃はドラクエが消えて良く泣いたものだが、 今回はえもいわれぬ笑いが込上げてきた。 人間、絶対駄目だと言うことを悟ると笑えるものなかもしれない。 まあ、それはおいて置くとして、やるべき事は決まった。 データをあきらめるのであればやる事は1つ。 障害箇所の交換である。 しかし、まだ安心はできない、実はこのパソコン。 メーカー製なのである。 数年前まで一切、ハードウェアの知識が無かったし元々不器用だったので 自作など考えてもみなかった。 メーカー製と言えば、きつい取り回しや、 場合によっては超装甲によりパーツが保護されている可能性もある。 メモリの交換程度ならすぐだがハードディスクとなるとどうだろうか。 パカッ! んー?どれどれ?
解体中、念のために記録した一枚
分り辛くて申し訳ないがこのPC、省スペース化のため縦にドライブを 装備しているうえ、予想通り取り回しがめちゃくちゃきつい。 DVDドライブなんぞマザーボードの方まではみだしている始末。 しばらく格闘の末、なんとかハードディスクを取り出す事に成功。 交換が可能であることが判明したので、その日はそれを放置して就寝。 ***15:00*** 翌日の15時。買い出しに多少時間が掛かったので再開が夕方からとなる。 あとは適当にハードディスク入れ替えて、 OSの再インストールなどを行い現在に至る。 MS Officeのディスクが行方不明になってしまったので 仕方なくOpen Officeをダウンロードして使う事になったり 思いの他変更点があった。 とりあえず今回のコンセプトは 「限りなくシンプルに、軽く」 余計なサービスは止める、必要ならばレジストリもガンガン弄っていく。 背景画像など持ってのほかだ。 それにしてもこれだけは切実に反省している。 ちゃんと定期的にバックアップ取ろう・・・Copy Right Sazin Since 2008