第2章 地球温暖化解決へ向けたグローバルな枠組みと国内対策

2.3 エネルギー量と経済規模の関係

エネルギー起源の二酸化炭素が、二酸化炭素排出の9割を占めている為、エネルギー消費量が少なく生産性が高い産業構造へ移行する、エネルギー効率を上げる、といった方法でエネルギー使用量を減らす事ができ、二酸化炭素を排出するエネルギー源を使用している場合だと、二酸化炭素の排出を抑える事ができる。二酸化炭素を排出しないエネルギーを使用している場合だと、使用するエネルギー量に関係なく基本的に二酸化炭素の排出はゼロであり、エネルギー消費量を減らさないとしても問題はない。その他の方法としては、二酸化炭素排出量が少ない或いは排出しないエネルギー源への転換する事で、全体の二酸化炭素量を減少させる事ができる。ただ、GDPと二酸化炭素の間には強い相関関係が見られ、二酸化炭素を削減する為にエネルギー消費量を減らす為に単純にエネルギー使用量を減少させると、経済の規模が縮小する可能性がある。エネルギー消費の規模は、生活や経済活動の水準によって決まるが、逆に生活や経済活動はエネルギーによって制約を受けており、相互関係だ。経済発展するに伴い、エネルギー消費は増加すると同時に、エネルギー消費を持続できるから、経済規模を保ち拡大させる事ができる。

そのような理由から、経済規模を縮小させる事を望まないEUや日本といった先進国は、エネルギー効率を上げる省エネや代替エネルギーへの転換、より生産性の高い産業構造への移行という方法で、経済規模を一定に保ちつつ、二酸化炭素排出量を削減する戦略を取るのが望ましい。排出可能な二酸化炭素量を設定すれば、使用するエネルギー源の割合を調整し決定した後、使用できるエネルギー量を算出できるはずで、その使えるエネルギー量が、経済規模を規定する。一方で中国やインドといった新興国は、二酸化炭素の排出量を制限する事は、二酸化炭素を排出するエネルギー源の使用量を制限する事に繋がり、経済発展を持続させる事ができないという理由で、京都議定書からは脱退している。

地球規模の環境問題を、解決する過程で問題となるのは、効率性と公平性であり、各国の利害を調整して、納得できるプロセスを通じて「排出量削減」という合意に至らなければならない。効率性資源の配分、公平性であれば資源の分配という問題がある。人為的温暖化論という観点からいうと、世界全体での二酸化炭素排出量を削減しなければ、温暖化を防止するという事は食い止められない。発展途上国の経済成長に伴い、温室効果ガスは増加し、先進国の削減量だけでは、世界の温室効果ガス排出量を、温暖化を引き起こさない量まで、大幅に減らす事はできない。そこで、先進国だけでなく、その他すべての国に対して協力を促さなければならないが、経済発展を成し遂げる為に、エネルギーを大量に消費し、温室効果ガスを排出してきた先進国が、同じように経済発展を遂げる為に、エネルギーを大量に消費しなければならない発展途上国に対して、エネルギー消費を制限し温室効果ガスの量を減少させる事はできない。効率性という観点から、削減すれば経済的利益が得られ、削減行為に対してインセンティブが働く仕組みと、公平性という観点から、先進国に対して高い割合の削減量を課し排出枠を減少させ逆に発展途上国に排出枠を分配する所得分配的な仕組みが必要になってくる。